TECHNOLOGY OF
航空機を想起させる名称を与えられた「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」。
そのケースに採用されるグレード5チタンは、実際に航空機や宇宙工学の世界で用いられる最先端の素材です。
ボリューム感たっぷりの曲面で構成されたフォルムは、このグレード5チタンを筆頭とする独自の素材使いによって軽量化を実現。
さらにオープンワークが施されたダイアルやジェットタービンを思わせる独自形状のスモールセコンド、巻き上げ効率に優れるタングステンとグレード5チタンによるローターなど、伝統的な時計技術
へリスペクトしつつ、随所にクストスならではの考え抜かれた精緻な構造を採用。
まさに圧倒的な技術と高い審美性に彩られた、現代の名機と呼ぶべき最先端のタイムピースです。
MULTI-LAYER STRUCTURE
縦53.7✕横41.0mmというトノウ型モデルとしては大型の部類に属する「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」ですが、実際に手にとってみると、その意外な程の“軽さ”に驚くはずです。
その秘密は軽さと強靭さを併せ持つグレード5チタンにありますが、さらに大胆なオープンワーク(肉抜き加工)が施されたダイアルや、ムーブメントを保持するインナーフレームに空洞を設けることで巧みに贅肉を削ぎ落とし、外殻としてのケースの強度を保ちつつ、驚異的な軽さを実現しているのです。またインナーフレームに空洞を設けることは軽量化だけでなく外部から加わる衝撃を吸収する機能もあります。外観上の個性だけでなく、軽量化を実現し、耐衝撃性を高めるために考え抜かれたパーツ形状と、これに最適化されたレイヤー構造が採用されているのです。
SMALL SECOND
ダイアルの6時位置に設置されたジェットタービンを思わせる大型のスモールセコンドには、革新的な技術が秘められています。
通常、秒針はガンギ車を駆動する4番車に取り付けられていますが、この「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」では、脱進機が11時の位置にあるため、そのまま6時位置にスモールセコンドを置くことができません。そこでクストスの技術陣はガンギ車から動力を取り出し、6時位置にまで連なる新たな輪列を増設したのです。さらにタービン型の大きなスモールセコンドを安定して駆動するため、アディショナルセコンドホイール(追加された秒針用歯車)の裏側に微弱な磁力を持つ永久磁石を設置し、これによって回転を安定させています。
SMALL SECOND
特別な輪列機構を増設することで6時位置に設置されたスモールセコンドは、その名称とは裏腹に確かな存在感をアピールしています。
その形状はジェットタービンを思わせる3つの頂点を持つ独特なもの。ここで提示したホワイトのモデルでは印象的なレッドでペイントされていますが、ブルーのモデルにはオレンジ、18Kレッドゴールドのモデルにはレッドゴールドカラーなど、それぞれのモデルのイメージカラーにマッチした色が選ばれています。
OPEN WORK
「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」における視覚面での最大の特徴は、大胆なオープンワークが施されたダイアルといっても良いでしょう。
このオープンワークによって、通常であればダイアルの下に隠れてしまうデイトのディスクの動きや、地板に施されたペルラージュ装飾などをじっくりと観察することができるのです。
CASE
三次元的な豊かな曲面で構成されたグラマラスなトノウ型ケースも、「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」の魅力の大きな根源。
その素材はチタンにアルミニウム、バナジウム、鉄、酸素を混合したグレード5といわれるチタン合金であり、物理的特性は純チタンを圧倒し、航空宇宙工学の分野で活用される最先端の素材です。
ORIGINAL SIDE GUARD
実は「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」には通常の意味でのベゼル、つまりガラスを固定するための枠はありません。
その代わり、ミドルケースの両サイドにチタン(あるいは18Kローズゴールド)製のサイドガードを装備し、これによってケースおよびガラス面を保護するのです。このように通常のベゼルではなく別体のサイドガードを装備することでデザイン面での制約から開放され、さまざまな異素材を装着することが可能となりました。
INNER BEZEL
ダイアル周辺に設置されたいわゆるインナーベゼルには、分の目盛りが刻まれており、ここに蓄光塗料を塗布したトラピーズ(台形)あるいはパラレログラム(平行四辺形)のバーインデックスが見事に嵌る精緻な構造が採用されています。
CROWN
ケースの右側面にあるのが時刻と日付合わせ、そして手動によるゼンマイ巻き上げに対応するリュウズです。
縦53.7✕横41.0mmというケースに対し、大型のリュウズには操作性を高めるためにラバーのリングがはめ込まれています。このラバーのリングはモデルのイメージカラーにマッチした色が選択されていることは、いうまでもないでしょう。
DIAL INDEX
オープンワークが施され、ムーブメントやデイト表示のメカニズムをつぶさに観察できるダイアルについてはすでに説明した通りですが、ここではインデックスの造形について説明しましょう。
「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」のダイアル・インデックスは2時と10時、そして12時にアラビア数字を採用。この書体は中央に分割線の入った「ステンシル書体」と呼ばれるもので、主に軍用機器などのマーキングに用いられています。つまり視認性を極めたタフな書体なのです。さらに光を吸収して夜間に光を放つ蓄光塗料を入れたバーインデックスがすべての時刻指標に設置されていることも見逃せません。
LUMINESCENT INDEX
インデックスや針に塗布されている蓄光塗料。かつては放射性物質が主流でしたが、現在はこのような物質を含まない安全・無害なものが用いられています。
その蓄光の仕組みは電磁波の一種である光を吸収し蓄え、暗い状況下になると発光するというもの。現在の蓄光塗料は従来のものより輝きも持続時間も約10倍となっており、「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」においても、このような最先端の蓄光塗料が用いられています。
RUBBER STRAP
ソフトな感触と確実なフィット感、そして高い耐久性。スポーツウォッチのストラップとして、ラバー素材は理想的な存在です。
「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」に標準装備されているのも、やはりラバーストラップ。単に柔らかなだけでなく、彫りの深い溝を設けたデザインによってしなやかさと同時に強靭性も確保しています。また、一部のモデルではアリゲーターストラップが装着されていますし、オプションとして購入することも可能です。
OPEN CLASP
「チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック」に標準装備されるラバーストラップには、伝統的なピンバックルと現代的なオープンバックルの両方の特徴を兼ね備えた特殊なクラスプが付属しています。
つまり時計を着脱する際にはクラスプ両脇のボタンを押すことでフルオープンとなり、簡単に解除と固定が可能。また、ストラップの締め具合を調整する際には、ストラップに開いた穴にピンを差し替えれば簡単にサイズ調整が行えるのです。
TITANIUM GRADE 5
ポケットウォッチの時代に考案された自動巻き機構ですが、これが真の実力を発揮したのは20世紀半ばに自動巻き腕時計が普及してから以降のこと。
そこで重要なのが巻き上げを司るローターの素材です。通常の自動巻きムーブメントでは真鍮やスチールを用いますが、ラグジュアリーウォッチの世界では、より比重が高く、巻き上げ効率に優れるソリッドゴールドが採用されることが多いのです。しかしクストスでは24Kゴールドと同等の比重19.3というスペックを持つタングステンをローター外周部に採用。これを軽量で硬度が高く、精密加工が可能なグレード5チタンのリブで支えることで、巻き上げローターとして理想的な重量バランスを実現しています。
WATERPROOF
スポーツウォッチにとって防水性は非常に重要ですが、ラウンド型に比べてトノウ型は気密性を確保するためには、より高精度な加工と堅牢な構造が必要となります。
クストスでは最先端の素材を高精度に加工して組み合わせることで、形状的に不利なトノウ型であっても、スポーツウォッチとして必要十分な100mの防水機能を確保することに成功しています。