CVSTOS JAPAN

TOP REPORT ABOUT CVSTOS TEAM LIMITED WATCH
2016 Super GTシリーズ Round2 富士スピードウェイ・FUJI GT500kmRACE
65 LEON-CVSTOS AMG-GT 黒澤治樹 蒲生尚弥
5月 3日 公式予選  18位/出走29台
5月 4日 決勝レース 21週リタイヤ/110周
開幕戦優勝の余韻も55㎏の重量増加に悩まされて……

 ゴールデンウィークに入り、周囲の山々が鮮やかな新緑に包まれた静岡県御殿場にある富士スピードウェイ。世界でも有数の約1.5kmもの長いメインストレートが特徴の高速コースがスーパーGT第2戦の舞台だ。予選が行われる3日の朝のうちは曇り空だったものの、次第にその雲も薄れ、公式予選は雄大な霊峰富士がその姿を見せるなかで始まりを告げた。
 K2 R&D LEON RACINGはチーム結成4年目の今年、開幕戦で底力を見せつけてチーム初優勝。プライベーターチームの優勝ということで多くの注目を集め、また各チームからマークされるカタチでの2戦目。ピットウォークではドライバーやマシン、そしてレースクイーン目当てのファンが例年になく多く訪れ、周囲の期待度の高さがうかがえた。しかし喜んでばかりではいられない。ご存知のとおりSuper GT はハンデ制が採用されており、マシンの差をなくすために獲得ポイントの2倍(1Pt=2㎏)のウェイトハンデを次戦で搭載しなければならないルールになっている。LEON CVSTOS AMG GT3は開幕戦優勝で20ポイントを獲得したため40㎏のウェイト、実際には鉛の板を助手席の位置に設置しての戦いをすることになった。だが実はこれだけでは済まなかった。ウェイトハンデに加えBOP(バランス・オブ・パワー=性能調整)もSuper GT の大きな特徴のひとつで、開幕戦の優勝(及び2位、4位等、軒並み上位を走った)でMercedes-Benz SLS AMG GT3全車両に対してプラス15㎏増加となったのだ。つまり、LEON CVSTOS AMG-GTは開幕戦に比べ、55㎏も重い状況で臨まなければならなくなったのだ。

攻めた結果が裏目に! 不運も重なり、まさかの予選Q1敗退

 55㎏のウェイトハンデは助手席に女性をひとり乗せているような感じだが、一般道を普通車で走るのなら重さの違いを感じることはない。だがこれがレーシングカー、それも100分の1秒を争う中では大きく違ってくる。コーナー侵入のブレーキングのタイミングや量、そしてコーナーからの立ち上がり加速にも大きな影響を与える。そしてそれが少しずつタイヤの消耗量にも影響が出てくるのだ。実際、ドライバーの黒澤治樹選手も「ブレーキングで止まりにくいし、加速もしにくい。これまでストレートも悪くなかったが、今日はそれもいまひとつです」と語っていた。
 それでも公式予選前に行われた練習走行で29台中10位のタイムを記録。半数の14台がQ2に駒を進めることができるQ1突破の手応えを掴んではいたが、不運に見舞われることになってしまった。1㎏でも、たとえ500gでも軽くしたい――その思いからチームは、周回数ギリギリのガソリンを入れて黒澤選手をコースに送り出した。

期待に応えるべくアタックラップに入ったが「コースイン2周目にアタックに入ったがタイヤがまだ十分に温まっておらず、一旦ペースを落とし3周目に再度アタック。だが前を行く遅い車に引っかかってしまった。さらにもう1周アタックしたがヘアピンでガス欠症状が出た」(黒澤選手)と万事休す。そのままピットへマシンを向けるしかなかった。燃費が悪くなるアタックラップが3度と予想より多かったためのガス欠だった。結果は18位。Q2進出の14台に残ることはできなかった。
 予選日を終えもうひとりのドライバー蒲生尚哉選手は「ライバルに比べストレートスピードが遅く厳しかった。決勝は路面状況が変化すると思うが、それに対応できるタイヤも用意している。ポイントは獲りたい」と力強く語ってくれた。決勝は500㎞の長丁場、しかもアベレージスピードが高い富士では荒れた展開になることが多い。状況の変化に素早く対応し、ポジションを上げることができれば、上位進出も狙える。

表彰台も狙える好走一転、クラッシュで万事休す!

 迎えた決勝レース当日、前夜から降り出した雨も朝には止み、初夏の陽気を思わせるほどの太陽が照りつけるコンディションのもと、5万人以上の観客がサーキットに訪れた。決勝前に行われたフリー走行でLEON CVSTOS AMG-GTは10位タイムを記録。タンクをガソリンで満たし、決勝の状況を想定して走るセッションでこのタイムは上位進出に期待を抱かせるものだった。スタート時刻は午後2時。気温21度、路面温度は40度に達し、マシンへの負担もタイヤへの負担も想定される状況。そんななか、まずは蒲生選手がステアリングを握ってスタート。やはりフリー走行で見せた走りは健在だった。1周目のスタート直後に16位、11周目には15位、13周目に13位、19周目に12位と確実にポジションアップ。アクシデントや整備不良でリタイヤしたり余分なピットインを余儀なくされるチームが出始める。まさにここからLEON CVSTOS AMG-GTが得意とするチーム力で走り切り、黒澤選手に繋いで表彰台も見えるのでは?チームもドライバー自身もそんな希望を抱いた時だった。
 21周、蒲生選手がロックオン。コカ・コーラ コーナーで強引にも思われるような抜きにかかった2号車シンティアム・アップル・ロータスがよもやのスピン。これに巻き込まれる形で蒲生選手がコースアウト。LEON CVSTOS AMG-GTはコースからはじき出されるようにフロントからコース脇に積まれたタイヤバリアに激突してしまった。幸いドライバーに大きな怪我はなかったが、モニタービジョンに映し出されたのはこみあげてくるやり場のない怒りを隠しきれないかのようにマシンを降りる蒲生選手の姿だった。黒澤選手にバトンを繋ぐことなくLEON CVSTOS AMG-GTの第2戦はここで終了となってしまった。それでも重い車重での追い上げは、次のSUGOラウンドに大きな期待を抱かせるものとなった。第2戦を終えた結果、初戦から上位の顔ぶれがガラリと変わったため、LEON CVSTOS AMG-GTは現在、第2位。スーパーGT300クラスは、12台が優勝すれば1位に躍り出ることができる20ポイント差にひしめく大混戦の様相を呈してきた。

ドライバーコメント
黒澤治樹「決勝日朝のフリー走行ではマシンのバランスが良かった。ウェイトハンデはやはり効いていて、つらい戦いになるとは思っていたけど、いけそうな手応えもあった。実際、蒲生選手の走りを見ていてあのままだったら表彰台まで行けたと思う。今回は不運な結果になってしまったが、仕方ないです。次のSUGOは岡山と同じメルセデスが得意とするコース。いい感じで臨めると思うし、いけると思うので頑張ります」