REPORT

ROUND1

OKAYAMA 2017 / 04 / 08 - 09

2017 Super GTシリーズ Round1 岡山国際サーキット
OKAYAMA GT 300km RACE
65 LEON×CVSTOS AMG-GT 黒澤治樹 蒲生尚弥
4月8日 公式予選  1位 / 出走30台
4月9日 決勝レース 2位 / 81周
ポールポジションからスタートし、決勝は2位に。シーズンを通じて強くあることを誓う

 Super GTシリーズの開幕戦が、例年どおり岡山国際サーキットで開催された。LEON CVSTOS AMGを走らせるK2 R&D LEON RACINGは、今シーズンも黒澤治樹選手と蒲生尚弥選手の強力タッグで戦う不動の体制で挑むも、タイヤは新たにブリヂストンを装着することとなった。そのため、オフのテストでは、マシンとタイヤの合わせ込みに重点が置かれていた。

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 舞台となる岡山国際サーキットは、このオフに路面の全面改修を行い、誰もが口にしていたのはグリップの大幅な向上。そのため、天候にさえ恵まれればレコードラッシュは必至だとも。ところが、その天候に土曜日は恵まれず。走り始めとなった公式練習は、未明まで降り続いていた雨の影響で、あいにくのウェットコンディションからのスタートに。それでも、気温は18度、路面温度も20度とこの時期にしては高めだったこともあって、徐々に路面は乾いていく。また時間の経過とともに、それぞれ20度、26度にまで上がったことが、なおさら拍車をかけることとなった。
 最初にLEON CVSTOS AMGに乗り込んだのは黒澤選手。当初は1分35秒台に乗せるのがやっとだったが、蒲生選手に代わってからは徐々にタイムが刻まれていく。そして1時間と経たぬうちに全体が1分30秒の壁を崩すように。そして、GT500との混走が間もなく終了という頃、蒲生選手は1分26秒772をマークしてトップに浮上する。GT300単独の時間になると、再び黒澤選手がドライブし、さらに短縮を果たす1分26秒060を記録するまでに。惜しくもトップこそ奪われてしまったものの、僅差の2番手につけて上々の滑り出しを果たすこととなった。

蒲生選手が新たなレコードホルダーに。初ポールに湧き上がるピット!

 予選が始まる直前に小雨がぱらついたものの、ほんの一時だったこともあり、路面は濡れるまでには至らず。気温は20度と公式練習と変わらなかったものの、路面温度はやや下がって22度に。上空は灰色の雲で覆われていたこともあり、また雨が降ってこないとは限らないことから、Q1を担当する黒澤選手は、早めのアタックを予定していた。だが、「サァ、これから」というところでコースアウトした車両があって、赤旗が提示されてしまう。約10分間の中断の後、残り計測10分間で再開される。
 赤旗にリズムを狂わされることなく、しっかりと仕切り直せるのはベテランならではの強み。再開後に1分27秒503を記録した後、いったんクールダウン。そしてラストアタックにすべての力を込めて1分26秒254をマークし、その時点での3番手につけることとなる。その後、1台に逆転を許したものの4番手でQ1を終了し、Q2で待つ蒲生選手にバトンを託すこととなった。
 続くQ2は、Q1の中断もあって、当初の予定より10分遅れでのスタートに。蒲生選手はアウトラップに加え、もう1周をウォームアップに充てた後、いよいよアタックを開始。まずは1分27秒227をマークし、その勢いで次の周には1分25秒044を叩き出してレコードタイムを塗り替える。その直後にクラッシュした車両があり、またしても赤旗で計測は中断される。残り5分間での計測再開がアナウンスされるも、ポールポジション獲得を確信した蒲生選手はマシンから降りて、ヘルメットを脱ぐことに。
 再開後に1分25秒台に入れて肉薄するライバルは現れたものの、逆転は許さず。その結果、蒲生選手は自身初となるポールポジションを獲得。LEON CVSTOS AMGを、決勝の最前列グリッドに並べることに成功する。黒澤選手と、固い握手を交わす様子が印象的だった。土曜日だというのに9300人も集まった観客の前で、「ホッとしています。ポールが獲れて良かったです」と蒲生選手が語れば、黒澤選手は「優勝できた去年より、さらにいい位置でスタートできます。それにしても蒲生選手が、すごいタイムを出してくれて、びっくりしました」と。逆にライバルたちからは「あのタイムは見えない」と嘆きの声が。

決勝はまさに波乱の幕開けに。スタートからトップを走行するも……

 昨シーズンまでは日曜日の早朝にフリー走行が設けられ、そこで本格的な最終チェックが行われたのだが、それが実施されないことに。その代わりに、従来はスタート進行の開始とともに行われたウォームアップが、8分間から20分間に延長された。スタートを担当する黒澤選手が最初にドライブし、1分27秒台を連発。センション後半は蒲生選手が乗り込み、ラストの1周で1分27秒071をマークして2番手につけることとなった。手応えは上々。
 土曜日までの不安定な天候から一転、雲はところどころにあるとはいえ、サーキットの上には青空が広がるまでとなっていた。気温は19度、路面は25度。まさに「穏やか」という表現が最も相応しいコンディションの中で、クリアなバトルが繰り広げられることが期待された。
 だが、予想もしなかった展開が待ち構えていた。17300人もの大観衆がみま乗る中でのフォーメイションラップで、GT500のホンダ勢がトラブルで2台もストップ。フォーメイションラップが1周加えられたのも束の間、赤旗が出されてしまったのだ。その直後に、もう1台もストップ! これにより、決勝レースは本来の予定より1周減算の81周で争われることとなり、セーフティカースタートからの開始に。
 黒澤選手のスタートダッシュは鋭く、難なくトップで1コーナーに進入。ただし、3番手以下は早々に引き離したものの、1台だけが食らいついて離れない。そんな中、5周目にクラッシュ車両があり、回収のためセーフティカーが再びコースイン。10周目まで先導が行われる。リスタートも完璧に決めた黒澤選手は、1周終わって戻ってくると、ようやく2番手に1秒の差をつけていた。だが、このリードがなかなか広がっていかないどころか、再び接近を許すことに。同じメルセデスAMG GT3ながらタイヤメーカーが異なり、その特性の違いが影響したようだ。
 けん制を受けるたび、ガードをしっかり固めていた黒澤選手だったが、19周目のWヘアピン入口で逆転を許してしまう。時を同じくして3番手も急接近。逃げるトップとは対照的に、黒澤選手が激しいバトルを繰り広げるようになる。強烈なプレッシャーにも屈することなく、しっかりポジションを守り続けていたのだが……。
 27周目、3番手の車両がピットイン。タイヤを左側の2本だけ交換してコースに戻ったのを確認して、次の28周目にLEON CVSTOS AMGもピットに戻ってくる。タイヤは手堅く4本を交換、素早い作業で、それまで2番手を争っていた車両の前で蒲生選手をコースに戻すも、コールドタイヤとあってガードもままならず。逆転を許してしまう。しかしながら、そのまま激しいバトルは続いて、蒲生選手はまさに隙あらばの構え。そんな中、再びクラッシュ車両があって50周目から7周にわたって、またセーフティカーランが実施される。リスタート後も激しいバトルが続くも、相手もなかなかミスを犯さず。
 しかし、ワンチャンスを蒲生選手は逃さなかった。70周目のWヘアピンでトップを争うGT500車両と遭遇。互いに譲れないタイミングに綻びが生じ、2番手の車両がGT500車両と接触してスピン。これを巧みに回避した蒲生選手が、2番手に返り咲くこととなった。そして、ゴールまでポジションを守り抜いて表彰台を獲得。悲願の王座獲得に向けて、貴重な15ポイントを獲得した。
 続くシリーズ第2戦の舞台は、富士スピードウェイ。5月3〜4日、ゴールデンウィークに行われることもあり、国内レースとしては最も多くの観客を集めることで知られている。30kgのウエイトハンデを背負っての戦いとなるが、引き続きの活躍を期待できそうだ。

DRIVER COMMENT

黒澤治樹 「我々の戦略上、タイヤはどうしても4本交換しなくてはならなかったので、ピットでやられてしまいました。それに僕が担当したスティントではペースが上げられなくて、トップも奪われてしまいました。でも、対策して蒲生選手に行ってもらえたので、その部分はチームとして良かったと思うんですが……。タイヤメーカーが変わってから、しっかり合わせ込みをしてきたつもりでしたが、まだ十分ではなかったようです。ということは、良くなることはたくさんあるということでもあり、夏に向けて、暑くなる時期にちゃんと合わせ込んでいければ、我々はもっと強くなれると思います」

蒲生尚弥 「2位という結果は悔しいですけど、シーズンを考えると悪くないスタートだと思っています。今日のレースで得たデータを、次回以降につなげていけたら、必ずシリーズで戦えるはずなので、頑張ります。2番手に復帰できた時は、GT500のクルマと4台並んでしまって、僕は当たっていないんですけど、けっこうゴチャゴチャした状態で。でも、GT500がいないと抜けないと思っていたので、うまく使えて、ああいう感じになりました」

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