REPORT

ROUND2

FUJI 2017 / 05 / 03 - 04

2017 Super GTシリーズ Round2 富士スピードウェイ
FUJI GT 500km RACE
65 LEON×CVSTOS AMG-GT 黒澤治樹 蒲生尚弥
5月3日 公式予選 15位/ 出走28台
5月4日 決勝レース 5位 / 102周
Q1突破ならず無念の予選から一転、決勝では10台抜きを果たして5位入賞!

 Super GTシリーズの第2戦が、ゴールデンウィーク真っ最中の富士スピードウェイで、通常よりも200km長い、500kmレースとして開催された。

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 LEON CVSTOS AMG 65号車は、今シーズンも黒澤治樹選手と蒲生尚弥選手の強力タッグで戦う不動の体制で挑むも、タイヤは新たにブリヂストンを装着することとなった。まだまだメルセデスとブリヂストンの最高のパフォーマンスは発揮できていないにもかかわらず、岡山国際サーキットで行われた開幕戦では、予選でポールポジションを獲得。決勝では2位となったが、チャンピオンシップを目指す上では貴重な15ポイントを獲得することとなった。一戦の輝きよりもーズンを通した強さを――。これが今年最大の目標であるだけに、上々のスタートが切れたのは間違いない。
 第2戦の舞台となる富士スピードウェイは、岡山国際サーキットとは好対照な高速コース。昨年までの印象ではストレートパフォーマンスに優れるFIA-GT3勢に有利なのだが、近頃は旋回性能を高めたJAF-GT勢が、セクター2やセクター3でタイムを稼いでくることもあって、LEON CVSTOS AMGを走らせる黒澤選手、蒲生選手も予断は許されないところではあった。

あとコンマ03秒が……。黒澤選手の力走もQ1突破に一歩届かず

 だが、今年からの性能調整の影響か、公式練習で上位を占めたのはやはりFIA-GT3勢だった。最初にステアリングを握った黒澤選手が、まず速さを極めて1分37秒212を早々にマーク。その時点でのトップにつける。そこから先は蒲生選手、そして終盤には再び黒澤選手が乗り込んで、決勝セットに磨きをかけることとなった。その間、トラブルに見舞われることなく、順調にメニューがこなされていき、このセッションでは4番手につけた。
 そして迎えた予選だが、気になるのは気温こそ公開練習より2度上がった18度ながら、路面温度はベストタイムを記録した序盤より、一気に9度も上がって30度にまで達していたことだ。5月上旬としては、やや高めのコンディションへの対応やいかに。そうはいっても、タイヤの性能を最大限に引き出すべく、Q1担当の黒澤選手はアウトラップだけでなく、さらに2周をウォームアップに充ててから、いよいよアタックを開始。
 まずは1分37秒台に叩き込み、次の周には1分36秒899をマークする。いったん軽いクールダウンを行なった後、黒澤選手は再度アタックをかけるもタイムは思うように縮まらず。結局、先のタイムがベストタイムとなり、あとコンマ03秒(!)及ばず15番手に甘んじ、Q2進出を果たせずに終わってしまう。
 「自分たちが予想していたぐらいのタイムは出ましたが、それ以上に周りが速かった。もう少しタイムを出さなければ……。ただ、Q1をクリアできたからといって、上位に行けるまでのパフォーマンスはそこまでなかった。必ずしも予選重視のセットではなかったとはいえ」と、黒澤選手はQ2に控える蒲生選手に、バトンを渡せず悔しそうに語った。
 しかし、今回のレースは冒頭でも触れたとおり、500kmの長丁場。LEON CVSTOS AMGが戦術の妙や、前回見せたねばり強い展開で、8列目グリッドからじわりじわりと順位を上げていくことが期待された。

約6万人の大観衆の前で見せた怒涛の10台抜き

 翌5月4日の決勝当日。スタート進行の開始と同時に行われる20分間のウォームアップは、スタートを担当する蒲生選手からの走行となった。計測開始と同時にLEON CVSTOS AMGはピットを離れ、まずはコースを1周。ピットに戻って微調整を行なった後、再び蒲生選手によって周回が重ねられていく。コンスタントに1分39秒台が刻まれていただけに、決勝レースに対する手応えは、徐々に上向きに。そして最後に黒澤選手もドライブして最終確認も済まされた。
 その後のグリッドウォークは、まさに人、人!人!! それでもスタンドを見回すと、まだまだ多くの観客が。好天に恵まれたこともあって、観客の総数はこの日だけで58,000人というから、今さらながらにスーパーGTの人気の高さを感じずにはいられない。というより、まだまだ日本のモータースポーツにはパワーが秘められていることが、改めて感じられた。
 気温19度、路面温度29度と予選とほとんど変わらぬコンディションながら、そのあたりは完璧に対応済。今回も静岡県警によるパレードランが加えられ、その後のフォーメイションラップを経て、いよいよレースのスタートが切られることになる。蒲生選手はオープニングラップのうちに、さっそく1台をかわして14番手に浮上、2周目にも1台、3周目にももう1台と華麗なオーバーテイクショーを披露する。さらには3台連なってのバトルを経て、7周目には11番手にまで、さらに先行車両の混乱もあり、11周目には9番手と早くも入賞圏内に。19周目には、昨シーズンのチャンピオンカー、VivaC 86 MCさえも抜き去っていた。
 そして1時間を経過して間もない、37周目に黒澤選手と交代。全車が最初のピットストップを終えると、ひとつ順位を上げて7番手に。その後は黒澤選手がランボルギーニと激しいバトルを繰り返すも互いにミスを冒さず、なかなか攻略が許されない。そこで67周目に同時にピットに滑り込み、蒲生選手が再びコースイン。ピットクルーの素早い作業に後押しされて、またもやひとつ順位を上げる。引き続き前を行くのは、先のランボルギーニ。GT-Rも迫ってきて、決して余裕などなかったものの、ミスなく蒲生選手は周回を重ねていく。
 ゴールまであとわずか、実質残り5周となったところで、4番手を走行していた前回のウィナー、グッドスマイル初音ミクAMGが2度目のタイヤトラブルを抱えて緊急ピットイン。これにより、蒲生選手は5番手に浮上し、そのままチェッカーを受けることとなった。LEON CVSTOS AMGは6ポイントを獲得し、ランキングも2位をキープ。続く第3戦の舞台はオートポリス。わずか2週間後の5月20〜21日に開催される。今回の決勝レースで乗った上昇気流に、そのまま乗り続けることを期待したい。

DRIVER COMMENT

黒澤治樹 「予選の順位からしっかり決勝で順位を上げて来られて良かったですし、その予選のあまり良くなかった部分を引きずらなかったのは何よりでした。これから夏に向けタイヤをもっともっと、自分たちのクルマ、チームに合わせ込んでいけば、予選も確実に上の方に行けるでしょうし、いいレースができると思います。チャンピオンシップを考えれば、こうして着実にポイントを取っていくのは重要ですからね。メルセデス勢の中でトップに立てたのも大きいし。再来週のオートポリスでは好結果が期待できると思いますから、また応援願います」

蒲生尚弥 「決勝のペースは悪くなくて追い上げることはできましたが、トップと比べると少し足りないところがあったかな……という感じではありましたけど、その原因はわかっているので、次戦以降に繋がるレースだったとも思っています。タイヤが変わって2戦目で、実戦の中でいろんなタイヤを使うことによってキャラクターがだんだんつかめているので、次戦以降はもっといいレースができるはずで」

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