REPORT

ROUND7

THAILAND 2017 / 10 / 07 - 08

2017 Super GTシリーズ Round7 チャーンインターナショナルサーキット
Chang SUPER GT RACE
65 LEON×CVSTOS AMG-GT 黒澤治樹 蒲生尚弥
10月7日 公式予選    9位 / GT300出走24台
10月8日 決勝レース 13位 / 66周
年に一度、海を越えて争うSuper GT、4回目の開催となるタイラウンド

 Super GTシリーズの第7戦が今年で4回目となる、海を越えたタイ・ブリーラムのチャーン・インターナショナルサーキットで開催された。第6戦は大量得点が可能な「鈴鹿1000km」だったこともあり、LEON CVSTOS AMG-GTを操る黒澤治樹選手、蒲生尚弥選手は今季初優勝を飾った結果、一気にランキングのトップに躍り出ることができた。必然的に大量のウエイトハンデを積まざるを得ないところ、第7戦は半減される。そのため鈴鹿の54㎏とほぼ同等の52kgを積むだけとあって勝算あり! まさに絶好のタイミングでランキングのトップに立ったのだ。

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 舞台となるチャーン・インターナショナルサーキットは、前半が典型的なハイスピードレイアウト、後半は典型的なテクニカルレイアウトという、なかなかに難攻不落のサーキットである。しかし、マシンバランスに優れるメルセデスAMG GT3との相性は、むしろ悪くないとされており、特に高速と中速、巧みに組み合わされたコーナリング区間は、最も得意とするところ。今回もしっかり得点を得てランキングのトップを維持し、残す最終戦に挑むことが期待された。

気まぐれな天候に振り回された予選9番手も、決勝への手応え十分

 走りはじめとなった公式練習は、直前にスコールが降っていたため、あいにくのウェットコンディションからのスタートに。幸いスコールはすぐにやみ、強い日差しが注ぐ中で走行がスタート。まずLEON CVSTOS AMG-GTのステアリングを握ったのは黒澤選手。最初は当然のことながらウェットタイヤを装着するも、開始から20分も経過すると早々にドライタイヤが履けるまでの状況へと変化する。開始からしばらくはピットイン〜アウトを繰り返して、徹底的にメイク&トライを行い、30分を経過しようというタイミングから本格的な走行を開始する。しばらくは黒澤選手が走行し、ほぼ1時間が経過したところで、ようやく蒲生選手がドライブ。直後に赤旗中断があったものの、再開後はそのままチェッカーが振られるまでロングランをこなし、ドライコンディションでの十分な手応えを得られるまでとなる。「予選や決勝に向けて、いろんなことが試せました。僕らはドライでもウェットでもどちらでも大丈夫ですが、ウェットのほうがマージンを得られるかな」と黒澤選手。
 そのままドライコンディションが保たれるかと思いきや、公式予選までのインターバルに今度は嵐のようなスコールが降って、路面は再びウェットコンディションに。やんだ後の日差しは弱く、Q1はセミウェットというべき状態からの走行開始となった。しばらく1分40秒台での周回が続いたものの、路面状況の向上にしっかりピークを合わせ、最後の周回で蒲生選手は1分39秒664、トップからコンマ07秒差での2番手につけることとなった。
 続いてQ2に挑んだのは黒澤選手。だが、開始直前に再び雨が降り始める。中にはドライタイヤでスタートしたチームもあったが、すぐにピットに戻ってウェットタイヤに交換。その雨は勢いを増し続けると判断した黒澤選手は、早めにアタックを行って計測3周目には1分40秒275をマークし、その時点での4番手につけるも、まもなく雨は予想に反してやんでしまう。そのため硬めのタイヤで後半に賭けていたチームが、どんどんタイムを縮めていったのに対し、そのまま走り続けていた黒澤選手ではあったが、すでにタイヤはピークを過ぎており、タイムアップならず。そのため、9番手で翌日の決勝を迎えることとなった。
 「僕らは雨がもっと降ってくる方向に賭けていたんだけど、最後のほうがタイムは出たからタイミングを逃したという感じで。尚弥と同じ硬めのタイヤで行っていれば良かったけど、柔らかいタイヤで行ってグリップダウンが早かったから、ちょっと狙ったところではありませんでしたね。決勝は頑張ります。チャンピオンシップを考えて、しっかりと走るつもりです」と黒澤選手はコメント。

ウィナーを抜いた直後のピットストップで不運に見舞われ、入賞を果たせず……

 決勝当日。まずサーキットサファリでは黒澤選手が3番手につけ、ウォームアップでは蒲生選手が2番手につけ、決勝レースに向けては、より一層の手応えを得られることとなった。そのままドライタイヤでの走行が望まれたところだが、全車グリッドについて間もなく、上空からはポツリポツリと雨粒が……。土曜日のスコールほどではなかったものの、コースはあっという間に水浸しになってしまう。
 スタートを直前に控えた段階で雨は上がったことから、中にはドライタイヤを装着したチームもあったが、LEON CVSTOS AMG-GTのスタートを担当する黒澤選手は迷うことなくウェットタイヤを選択。レースはセーフティカースタートからの開始となり、1周の先導の後、いよいよバトルが開始。前にドライタイヤを装着した車両があったため、いきなりジャンプアップは可能とされなかったものの、すぐにひとつ順位を上げ、6周目には7番手に浮上。勢いに乗る黒澤選手は9周目には6番手へと上がる。しかし、それからしばらくすると、ドライタイヤを装着していた車両のタイムが上回ってきたため、そのまま走り続けるのはリスクが大きいと判断。JMS P.MU LMcorsa RC Fを16周目に抜き、5番手となった直後の20周目に、LEON CVSTOS AMG-GTはピットに滑り込んできた。
 ドライバーが黒澤選手から蒲生選手に交代し、タイヤはドライタイヤに交換。あとはピットを離れるだけ、となったその瞬間、ジャッキダウンが早すぎて、もう一度作業を繰り替えせざるを得ず。これでロスを抱えて大きく順位を落としたばかりか、その一連の行為が作業違反との判定により、入賞圏へとあと一歩と迫った38周目にドライビングスルーペナルティを消化しなければならない不運さえも……。その間に周回遅れとなってしまい、蒲生選手の必死の挽回も虚しく、13位でゴールするのが精いっぱい。入賞は果たせなかった。
 不幸中の幸いだったのは、まだまだチャンピオン獲得の権利を一縷の望みながら、残したこと。トップとの差は13ポイントながら、大逆転に向けてツインリンクもてぎが舞台の最終戦では全力を尽くしていく。

DRIVER COMMENT

黒澤治樹 「難しい条件のなかをスタートして自分のできることはやって、うまくいったんですけどね。タイヤも良かったし、尚弥も頑張ってくれたし。勝てるか、少なくても2位、3位になれるレースだったんですけど、ピットのトラブルでポイントが獲れないレースになってしまいました。これもレース。プレッシャーのなかで確実にやらなきゃいけないなかで、そういうことを越えていかないと本当に強いチームにはなれないから。最終戦、全力で頑張ります!」

蒲生尚弥 「ペナルティは痛いですけどピットの作業違反なので、それは仕方ないです。クルマはすごく調子良くて、全然問題なかったんですが、最後はもう勝負権がなくなってしまったので、クルマをいたわって走って、ポジションキープで終わったという感じです。ついていないレースでしたがしょうがない。また頑張ります」

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